リューベック・市庁舎と聖マリエン教会

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リューベック 市庁舎市庁舎
リューベックの市庁舎ではハンザ会議が開催され,ハンザ同盟の重要な意思決定がここでなされた。ゴシック様式で建てられた黒レンガ造りの重厚な外観が,質実剛健なハンザらしい風格を感じさせる。

まず目を引くのは円形の風穴をもつファザードと緑色のとんがり帽子を被ったような姿の複数の細い尖塔だ。同じくハンザ都市であるシュトラールズントやロストクの市庁舎も,同じような風穴と尖塔をもつ。両都市ともリューベックからの移民により13世紀に建設された娘都市であるため,市庁舎のデザインにも母都市の影響を受けたと思われる。

リューベック 市庁舎さらに,光沢のある黒緑色のレンガがリューベック市庁舎の個性を際立たせている。他のドイツ諸都市を見てみても,このような色のレンガは非常に珍しい。色の秘密は,レンガに牛の血と塩が混ざっていることだという。

市庁舎の建設は,13世紀前半,リューベックが帝国直属都市となってまもなく始まった。ほとんどの部分がレンガ造りのゴシック様式だが,マルクト広場に面した白いアーチ部分や東側の外階段はルネッサンス様式で建てられている。

市庁舎内部は,ガイドツアーで見学できる。

リューベック 聖マリエン教会聖マリエン教会
市庁舎に隣接するように,商人のための教会,聖マリエン教会がそびえ立つ。聖マリエン教会もまた,ホルステン門や市庁舎と同様にハンザ期のリューベックの繁栄を象徴する建物である。都市の中心部にあるのが大聖堂ではなく,商人のための教会であるというところに,商業都市リューベックの性格がよくあらわれている。

1250年から1350年にかけてゴシック様式で建設された。塔の高さは約125メートル,天井高は約83メートル。ドイツで3番目に大きく,レンガ造りではドイツ最大の教会である。

聖マリエン教会は北ドイツにおける最も重要な教会建築のひとつに数えられる。バルト海沿岸地域にあるおよそ70の教会がこの聖マリエン教会を手本にして建てられたと言われている。

リューベック 聖マリエン教会また,青年時代のバッハが訪れたことでも知られている。バッハはこの教会のオルガニストであったブクスフーデの演奏に感銘を受け,無断で休暇を延長してまでもこの教会に通ったという。

残念ながら聖マリエン教会の建物は第二次世界大戦の際に爆撃を受け,大部分が破壊されてしまった。現在の建物は戦後復元されたものである。


リューベック 聖マリエン教会前の悪魔の像聖マリエン教会の悪魔
教会の前に愛嬌のある悪魔が座り込んでいる。この悪魔の像には教会建設にまつわる次のような有名な言い伝えがある。

聖マリエン教会の建設が始まったとき,悪魔はブドウ酒酒場ができると勘違いし,嬉々として建設の手助けをした。悪魔のお陰で建設は驚くべき速さで進んだが,実はそれが酒場ではなく教会だと気付くと,怒った悪魔は完成間近の教会を破壊し始めてしまった。それを止めるために教会のすぐ近くに酒場を建設することが約束されると,悪魔は上機嫌になり教会を壊すのをやめ,無事に聖マリエン教会が完成した。こうして教会のすぐ向かいの市庁舎にブドウ酒酒場がつくられたのだそうだ。



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