ハンブルクでもっとも古い教会
いつも多くの買い物客で賑わうメンケベルク通り沿いに聖ペトリ教会はある。市庁舎は目と鼻の先,まさにハンブルクの中心地に位置するこの教会がマルクト教会として初めて文書に言及されたのは1195年。ハンブルク港が開港※して間もない頃だった。教会の創建はそれよりもさらに古く11世紀前半と推定されている。
中世には,この教会の周辺にハンブルクの名前の由来であるハンマブルクHammaburg(820年代,異民族の襲撃に備えて築かれた城砦)や,11世紀に築かれたBischofsturm(Bischof=司教,Turm=塔)が存在していたとされる。
聖ペトリ教会の周辺は,自由ハンザ都市ハンブルクの歴史が始まった場所なのである。
(※1189年,皇帝フリードリヒ赤髭王からの商業特権の獲得によりハンブルク港が開港したとされる)
ライオンのドアノッカー 教会の入り口では,ブロンズ製のライオンのドアノッカー(扉の左側)が迎えてくれる。これは1342年のもので,ハンブルクが保存する最古の芸術品であるという。ペトリ教会は第二次世界大戦での被害が少なかったため,このドアノッカーのほかに教会内では1470年製作のマリア像など,歴史的価値の高い多くの品を見ることができる。 |

聖ペトリ教会は1842年の大火事で大きな損傷を受けたが,ハンブルク生まれの建築家アレクシス・ド・シャトーヌフAlexis de Chateauneufの設計によって建て替えられた。それによって,聖ペトリ教会はそれまでのレンガ造りゴシック様式のデザイン(上左)は継承されつつ,当時の流行だったネオ・ゴシック様式(上右)に生まれ変わった。
ところで彼は1842年の大火事で街の大部分が焼けてしまった後に,ハンブルクの新たな街づくりを行った人物の一人である。市庁舎の脇でひと際目立つ,イタリア風の白いアーチが美しいアルスターアルカーデンAlsterarkaden(下左)やアルテポストAlte Post(下右)も,実はこの人物が設計したのである。
他のハンブルク中央教会と同様に,聖ペトリ教会にも塔に展望室が設けられている。塔の高さは132m。エレベーターはないため,展望室までは544段の階段を登らなくてはならない。展望室からは市庁舎やアルスター湖が見渡せる。

Information
アクセス: U3 Rathaus駅
Speersort 10, 20095 Hamburg
URL: http://www.sankt-petri.de/
その他の教会 聖ミヒャエル教会 / 聖ニコライ教会(跡) / 聖ヤコビ教会 / 聖カタリーネン教会 |